インフルエンザに感染したら?

インフルエンザは必ず薬を飲まなければ治らないという病気ではありません。自然と自分の免疫の力で治ることも多い病気です。今回の記事では、インフルエンザに対する正しい知識を解説していきます。

インフルエンザと風邪の違い

高熱や全身症状が急にあらわれる

風邪は様々なウイルスによって起こりますが、普通の風邪の多くは、熱、咳、鼻水、喉の痛み、くしゃみ等の上気道の症状が中心です。

インフルエンザウイルスも風邪を引き起こすウイルスの1つですが、38°C以上の発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛など全身の症状が突然現れるのが特徴です。一般的なウイルスによる風邪と同様に、のどの痛み、鼻汁、咳などの症状も見られます。インフルエンザの重症な合併症に急性脳症があります。ご高齢の方や免疫力の低下している方では肺炎を併発する等、重症になることがありますので注意が必要です。

一般的な風邪のウイルスよりも感染力が強く、特に冬場11月頃から3月頃にかけて流行します。

インフルエンザ脳症って?

保護者の皆さんが一番心配されるのが、「インフルエンザ脳症」という合併症でしょう。 インフルエンザ脳症は、インフ ルエンザウイルスの感染が契機となって、急速に脳に免疫学的な反応がおこり、意識状態が悪化します。 重篤な場合には命を落とすこともあります。

しかし、インフルエンザ脳症がどのように発症するのかは、はっきりとわかっていません。そして、インフルエンザウイルスに感染したかどうかを早期に診断し、早くに抗インフルエンザウイルス薬を飲んだからと言って「インフルエンザ脳症」を予防できるという研究結果は現在のところありません。

しかし、早期に「脳症」かどうかを判断し、脳症に対する治療を行うことに関しては、十分に意味はあります。インフルエンザ脳症に対し、無治療では約30%であった致命率がこの数年8~9%と改善しました。しかしその一方、後遺症を残す子どもは約25%と変化はなく、相変わらず重篤な疾患であることに変わりはありません。

しかし、脳症ではないインフルエンザウイルス感染を早期に診断し、インフルエンザに対する治療を早期に開始しても、「インフルエンザ脳症」の発症を予防できるわけではないということをしっかりと認識しなければいけません。

インフルエンザの診断

主な診断方法

主なインフルエンザの診断方法には、

  1. ウイルスを分離して検出する方法、
  2. インフルエンザに対する抗体を血液から検出する方法
  3. ウイルスのDNAを増やして検出する方法
  4. インフルエンザ抗原を検出する迅速診断法

などがあります。

発熱から24時間経過後に検査

一般的に行われているのが、④インフルエンザ抗原を検出する迅速診断法です。鼻の奥の鼻粘膜の拭い液を使用し、約10分から15分で診断ができます。この迅速検査が陽性になるためには、体内のウイルス量が十分に増えている必要があります。

発熱直後はウイルス量が十分に増えていない場合があり、インフルエンザに感染していても、迅速検査で陰性に出ることがあります。 発熱して12時間~24時間すると体内のウイルス量が十分に増え、 迅速検査で陽性と確認できます。 そのため、確実なのは発熱して24時間たった時点であると認識してください。

近年、ウイルス量が少量でも検出できる検査キットもあり、発熱から24時間経っていなくても、インフルエンザ抗原を検出することも可能です。ただし、その検査も、「発熱後してから何時間であったら検査が陽性に出るか」などの明確な基準はないため、症状や周囲の状況も含め、どの検査キットを使用し、診断するどうかは医師とご相談の上で決めていただけたらと思います。​

発熱直後に「インフルエンザが心配だから検査をしてほしい」と来院される方もいらっしゃいますが、意識状態が良好で、水分もしっかりとれている状況であれば、まずは体を冷やしたりしてしっかりと経過をみることが必要です。たとえインフルエンザウイルス感染であっても、発熱直後は検査で陰性と出てしまうことがあり、再度翌日に来院し、そこで改めて検査をしなくてはいけません。発熱している時は、できるだけゆっくりと休養をとることが体力回復には重要ですので、インフルエンザウイルス感染が心配でもまずは、12時間~24時間経過を見ていただくことが必要です。

ただし、意識状態が悪い、痙攣している、顔色がわるい、全く水分がとれないなどの全身状態が悪い時には必ず受診して下さい。

インフルエンザはどうやって治すの?

焦らず様子をみていただく

インフルエンザウイルスに対する治療薬にはいくつか種類がありますが、インフルエンザは必ず薬を飲まなければ治らないという病気ではありません。自然と自分の免疫力で治ることも多い病気です。

インフルエンザ治療薬は発症後48時間以内に使用すれば、インフルエンザウイルスの増殖を抑えられるので発熱期間が数日間短縮されるという効果があります。さきほどご説明したとおり、注意していただきたいのは、抗インフルエンザウイルス薬を使用したからと言って重篤な脳症の合併症を予防できるという結果が今のところないということです。​

インフルエンザウイルスかもしれないと思ったら、まず24時間経過をみていただき、解熱しないようであれば来院していただき検査しましょう。​現在、インフルエンザ検査についても、24時間経たなくても、検出できるものもありますので、インフルエンザ検査については、症状や社会的背景などを鑑み、医師と相談の上、行っていただけたらと思います。

検査が陽性であれば、必要に応じて抗インフルエンザウイルス薬を飲めばいいのすが、状況に応じて、臨床症状や周囲の状況から、インフルエンザと診断し、治療を開始するケースも多々あります。まずは、発熱直後は、解熱薬などで様子をみて、その後12時間から24時間以上たっても、解熱しない場合には、受診し、医師と相談の上、検査を行うかを決め、その後、治療を開始するという流れが最善の方法でしょう。

インフルエンザの治療薬

では次に、インフルエンザ治療薬にはどのような種類があるのかを解説します。

  • ゾフルーザ(バロキサビル) ➡内服薬(顆粒、錠剤 1日1回1日間)
  • タミフル(オセルタミビル) ➡内服薬(ドライシロップ、カプセル 1日2回5日間)
    ※以前は10歳以上の未成年には原則使用不可でしたが、異常行動とタミフル内服の因果関係が認められなかったため、現在は10代の未成年にも使用可能です。
  • リレンザ(ザナミビル)➡吸入薬(1日2回5日間)
  • ラピアクタ(ペラミビル)➡点滴注射薬(1回点滴のみ)
  • イナビル(ラミナミビル)➡吸入薬(1回吸入のみ)

これら5種類の薬が現在一般的に使われており、年齢、全身状態などの症状や状況に応じて医師の判断のもと選択しております。

大切なのは「予防する」こと

インフルエンザはまずは「かからない」「予防する」ということが一番です。インフルエンザワクチンを社会全体で接種し予防していくことで、インフルエンザ患者を減らしていくことが必要です。インフルエンザ患者が減ることで、インフルエンザウイルス感染によって重症化する患者も必然的に減っていきます。

また、もしインフルエンザにかかってしまったかなと思ったら、意識状態は悪くないか、水分はとれているか、痙攣はな いか、顔色は悪くないかなどの重症化の兆候がないかをしっかりと判断してください。 万が一そのような兆候がある場合には、必ず医療機関を受診してください。

熱や風邪などに似た症状で全身状態が良い場合には、まずは24時間しっかりと経過をみて、その後医療機関を受診していただくと、迅速診断でインフルエンザかどうかを判断でき、スムーズに治療へつなげることができます。また、抗インフルエンザウイルス薬を使用した場合でも、しっかりと水分摂取し、休養を取ることが早期回復につながることを忘れないようにしてください。

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