熱性けいれんの基本知識
乳幼児期に高熱に伴って起こる
こどもの病気の症状の中で重篤な症状の一つに痙攣(ひきつけ)があります。特に多いのが、高熱が出た時に、白目をむいて、全身が突っ張ったり、ガクンガクンと手足をふるわせたりする「熱性痙攣(ねつせいけいれん)」です。
熱性けいれんとは、乳幼児期(5歳くらいまで)に38°C以上の発熱に伴って起こるけいれん発作で、有病率は7〜8%とされています。
脳障害や知能低下は起こさない
脳などの中枢神経の感染症など、明らかな原因となる病気がないものを指し、脳障害や知能低下は起こさないとされています。また、60〜70%は一生に一度しか発作を発症しません。
しかし、熱性痙攣と診断するためには、「細菌性髄膜炎、急性脳症、急性脳炎、てんかん、電解質異常、低血糖、高アンモニア血症、脳腫瘍」などの重篤な疾患ではないことをしっかりと判断しなくてはいけません。
正確な判断をするためには、熱性けいれんの特徴を把握しておく必要があります。
「単純型」熱性けいれんの特徴
熱性けいれんの中で、次の特徴がある場合には、「単純型」の熱性けいれんと呼ばれています。
- 発作時間が15分以内(意識の回復がよい)
- 24時間以内に1回しか繰り返さない
- 左右対称の全身性のけいれん
「単純型」の場合には、典型的な熱性けいれんと判断することができ、より詳しい検査を必要とすることが少ないのが特徴です。けいれんの持続時間、痙攣の回数、痙攣に左右差・部分的な痙攣がないかどうかなどをしっかりと把握し、医師にお伝えください。
痙攣(けいれん)時の対処法
落ち着いて対処することが大切
けいれん時にはお子さんの意識がなくなり、顔色も悪くなることが多く、突然の症状の出現に保護者の方がパニックになってしまうことが多いようです。けいれんは起こった時に適切に対処することが重要ですので、具体的な対処方法についてご説明します。
- まず、保護者の方が落ち着いてください。保護者の方がパニックになってしまうと適切な対処ができません。ここがかなり重要ですので、十分に心がけてください。
- お子さんの体を横向きにして寝かせます。痙攣時は嘔吐することがあるため、吐いたもので気道をふさがないようにします(上を向いて寝かせると嘔吐したものが気道に入り窒息する恐れがあります)。
- 痙攣がどれくらい続いているか(痙攣の持続時間)を把握してください。痙攣が5分以内におさまって、その後に意識がはっきりしている状態(呼びかけに反応し、しっかり視線が合い、命令に従う)であれば、痙攣後に医療機関を受診して下さい。
- もし痙攣が5分以上も続く場合は、救急車を呼んで医療機関を受診しましょう。
また、「痙攣が治まっても意識や顔色が戻らない」、「痙攣を繰り返してしまう」といった場合もすぐに医療機関を受診しましょう。
痙攣時にやってはいけないこと
痙攣時に舌をかまないように無理やり口の中にものを入れたり、顔色が悪いからといっていきなり人工呼吸をすることはやめましょう。口の中に入れたもので窒息してしまったり、吐いたものが人工呼吸によって気道に入ってしまい、窒息して命を落とすこともあります。
①〜④の手順を守って、痙攣に対して冷静に対応することを心掛けてください。
痙攣予防のためのダイアップについて
熱性けいれんを繰り返し起こす可能性があるお子さんは、「ダイアップ」という坐薬や抗痙攣薬の内服を行い、熱性痙攣の予防をする必要があります。しかし、熱性けいれんを起こしたすべてのお子さんが予防的に薬を使用する必要はないのです。なぜなら、熱性痙攣の60%〜70%は一生に一度しか起こらず、「単純型」の熱性けいれんでは脳障害や知能低下は起こさないからです。
また、ダイアップ坐薬は脳や神経に作用する薬なので、副作用がでることもあります。たとえばお酒に酔った様にふらついたり、長時間寝てしまったり、逆に、興奮して寝なくなったりする場合があります。
そこで、どのようなお子さんが熱性けいれんを繰り返しやすく、発熱時に予防的に薬を使用するべきなのかご説明します。
無治療のまま経過観察でよいお子さん
「単純型」と呼ばれる典型的な熱性けいれんであれば、発作回数が多くても、予防的に薬は使わなくて大丈夫です。
ダイアップ(坐薬)の予防的な使用が望ましいお子さん
「遷延性発作(15分以上)の既往がある場合」または、「下記のうち2つ以上を満たした熱性けいれんが2回以上反復する場合」に、ジアゼパム(ダイアップ坐薬®)を投与します。
- 焦点性発作または24時間以内に反復
- 熱性けいれん出現前より存在する神経学的異常・発達遅滞
- 熱性けいれんまたはてんかんの家族歴
- 生後12カ月未満
- 発熱後1時間未満での発作
- 38℃未満での発作
つまり、15分以内の単純型熱性けいれんは、何回繰り返してもダイアップ予防の対象にならないということになります。
抗痙攣薬を毎日内服することが望ましいお子さん
坐薬による予防をはかったにもかかわらず、15分以上のけいれんを認める場合や、坐薬の予防投与を行っても、繰り返しけいれん発作が見られた場合には、抗痙攣薬を毎日内服することも考慮します。痙攣を抑える薬は脳や神経に作用する薬ですので、副作用が出ることもあります。
痙攣予防をする対象を判断することはやや難しい内容かもしれませんが、不必要な薬の使用がなされないように、どういう時に予防の薬の使用が必要なのかをしっかりと把握してください。痙攣後、予防の薬が必要なのか迷われた場合には、必ず医師にご相談ください。
必要な時に必要な薬を適切に使用することは、お子さまの健康を守ることにつながります。
熱性けいれんのまとめ
熱性痙攣のきほん
「熱性けいれん」は、38度以上の発熱に伴って起こる痙攣(けいれん)で、比較的多くのお子さんにみられる病気です。通常みられる熱性けいれんにより、知能低下や脳障害が起きることはありません。重篤でない熱性けいれんを単純型と呼び、発作が15分以内、24時間以内に1回のみ、左右対称であるなどの特徴があります。
痙攣時の対処方法
まずは、落ち着いて、発作の長さ、左右対称であるかなどを観察してください。口の中に何か入れたり、いきなり人工呼吸などをしないでください。発作が5分以上続く場合は救急車を呼んで医療機関を受診してください。痙攣が止まっても呼びかけに反応しない、発作を繰り返す場合もすぐに医療機関を受診してください。
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